カマキリの赤ちゃんは卵から生まれます。
その卵は卵嚢と呼ばれるもので覆われています。
枝や茎についている白いクリームみたいな固まりを見たことがあるでしょうか。
この卵嚢のなかに200個近い卵が入っています。
今回はこの卵嚢と、ここから誕生するカマキリの幼虫について調べてみました。
卵嚢って何?
カマキリのメスは産卵する前に、おしりからねばねばした白い液を出します。
この液を自分が止まっている木にくっつけ、ゆっくりとこねてあわ状にします。
このあわが卵嚢と呼ばれるものです。
卵嚢のなかに卵を生みつけることによって、卵を守っているのです。
あわの中には空気がつまっているので弾力があり、風で木や草がとんできても中の卵は傷つきません。
また、あわが寒気を遮ってくれるので、冬の間も卵が凍らずにすむのです。
卵嚢の形
卵嚢の形はカマキリの種類によってさまざまです。
オオカマキリはふわっとした丸型、チョウセンカマキリは細長い四角、ハラビロカマキリはラグビーボールのような形の卵嚢を作ります。
卵嚢の中は絶対安全?
卵を守るために存在する卵嚢ですが、残念ながら100%安全とはいえません。
なぜなら、卵嚢を荒らす天敵が存在するからです。
例えば、カマキリタマゴカツオブシムシは卵嚢に穴を開け、カマキリの卵に自分の卵を生みつけます。
やがてそこから孵った幼虫が、カマキリの卵を食べてしまうのです。
また、オナガアシブトコバチも産卵管というおしりについた長い管を卵嚢にさしこみ、カマキリの卵に自分の卵を生みつけます。
この幼虫もやはりカマキリの卵を食べて成長するのです。
カマキリの赤ちゃん
無事に春を迎えて孵化したカマキリの赤ちゃんは、全身が薄い膜に覆われています。
その膜を破ることにより、ようやく自身の手足を使えるようになります。
この脱皮には約40秒かかります。
一度の産卵で200匹分の卵が生みつけられるわけですが、孵化した時点で半数が亡くなってしまいます。
まだ弱い手足ではうまく歩くことができず、風に飛ばされて地面に落ち、クモやアリなどに捕まってしまうためです。
そんなわけですから、無事に孵化した赤ちゃんは遠出せず、体がじゅうぶん強くなるまでじっと待ちます。
そして3,4日すると少しずつ生まれた場所を離れ、えさを探し始めるのです。
まとめ
天敵や障害を乗り越えて生存していくために、カマキリは工夫して卵を生んでいることがわかりました。
メスが200個近くの卵を生むには3時間以上かかるそうです。
そして、産卵を終えると間もなく亡くなってしまいます。まさに命がけの産卵ですね。
そうして生まれた赤ちゃんも生き残るのは至難の業です。
自然界の厳しさを感じました。