「卵」と書くと、1つずつ産み落とされる姿を想像される方が多いと思います。
今回はカマキリの卵について少し説明を加えて見ていきましょう。
目次
どんな場所に産むの?種類によっても違うの?
確かに卵を産みますが、正確にはいくつもの卵が入った泡に包まれたかたまりです。
この泡は特殊で、初めは泡状ですが時間が経つにつれて、硬くなっていきます。
通気性と断熱効果があるだけではなく、スポンジ構造なので軽い衝撃からも守ってくれます。
まさに自然界の防護壁です!
カマキリは、このかたまり(卵鞘:らんしょう)を1つだけではなく、数回に分けて産みます。
その理由は幼虫たちの生存率の低さや、卵鞘を食べる天敵への対処するためです。
カマキリの種類によって、卵鞘を産む場所もまったく異なります。
オオカマキリの産卵場所は?
木の枝や枯れたイネなどの植物の茎に産みつけます。
卵鞘の形状は少し角張った球形のかたまりで、大きさ約4㎝くらいです。おむすびのような形を想像してもらったら分かりやすいです。
ススキの枯れた茎や細い枝に産みつけられていることが多いです。野原や稲刈り後の水田などを訪れると見つけることができるかもしれません。
ハラビロカマキリの産卵場所は?
建物の壁面や木の幹や枝などです。
卵鞘の形状は厚みのある紡錘形(ぼうすいけい)で、大きさ2㎝~3㎝ほどです。
紡錘形とは、円錐の底面を貼り合わせたような形をいいます。雑木林に行けば、思ったよりも簡単に発見できます。
実は我が家の壁にも卵を産みつけられたことがあります。変わったところでは、電柱にも産卵するそうですよ。
チョウセンカマキリの産卵場所は?
枯草の茎や植木の小枝に産みつけます。
人家や畑の周辺で目にすることは難しくありません。卵鞘の形状は、紡錘形を縦半分に切ったような細長い形をしています。
ペリカンマンゴーを横から2つに切った形です。大きさは4㎝くらいです。
コカマキリの産卵場所は?
木の幹の低いところや、倒木、杭、板など…。
つまり、低い場所にあり、強度や硬度があればいろんな場所で産卵をします。家の周りを観察されると、意外とすぐに見つかるかもしれませんよ。
卵鞘の形状は、紡錘形を縦半分に切ったような平べったく、細長い卵をしています。大きさは2㎝~3㎝ほどです。
何匹の数を産むの?あの泡の正体は一体何なの?
オオカマキリは、200個~300個ほどの卵が入った泡状の卵鞘(らんしょう)を産みつけます。オオカマキリは、能力的には卵鞘を20個も産むことができるそうです。
しかし、実際の数はそれよりも少なく5個未満と言われ、無事に成虫になる割合は卵の合計の10%に満たないです。
仮に5個の卵鞘を産み落としたとして、卵の合計は300個×5で1,500個。
そのうち成虫になるのは1,500個×0.1で150匹という計算になります。1つの卵鞘から大人のカマキリになれるのは、150匹÷5で30匹ほどしかいません。
あくまでも多めに算出していますので、実際はこれよりももっと少ないと考えることができます。
チョウセンカマキリを育てた人の話によると、10個も卵鞘を産んだそうです。しかし10個とは、驚きですね!ただ、その後の管理はどうされたんでしょう?大変そうですね。
どこを探せばいいの?どうやって持ち帰るの?孵化の瞬間は?
ここまでいろんなカマキリの卵鞘について紹介してきました。いかがでしたか?
カマキリの卵鞘に興味をもたれた方はいませんか?
あるいは、子どもに孵化の瞬間を見せたいと思われた方はいませんか?
まず、家の周りの茂みをのぞいてみてください。
特に、ススキなどのイネ科の植物が生えているところがいいです。散歩がてらに川沿いの土手を訪れるのもいいかもしれません。
または、近くの公園を散策されてみてください。もし卵鞘を見つけることができたら、カマキリの種類を確認してください。
卵鞘を持ち帰りたい場合は、オオカマキリかチョウセンカマキリの卵をおススメします。
これらのカマキリは枝に産卵するので、枝ごと切り取って簡単に持ち帰ることができるからです。カマキリの卵鞘を選ぶ際は、次の3つに注意してください。
まず、変色したものや崩れかけたものは選ばないこと。こういう場合は、無事に育つ可能性が非常に低いので、持ち帰るのにはよくありません。カマキリタマゴカツオブシムシやオナガアシブトコバチが寄生しているおそれがあるからです。
次に、しっかりとした茎や枝についた卵を選び、長さは余裕をもって切り取ること。これは、飼う際にケースの中にしっかりと立てかけられるようにするためです。
最後に、外気温に近い玄関先などの低い温度で管理すること。暖かい部屋で管理すると、季節を勘違いして卵が孵ってしまうことがあります。
壁に付いた卵の駆除の仕方・はがし方は?
あるいは、壁についた卵鞘を駆除したい場合はどうすればいいのでしょう?
はがし方は、100円ショップなどで金属ベラを購入し根元からゆっくりとお願いします。かつお節ほどではありませんが、分厚く固いので意外と簡単にはがすことができます。
はがした後、飼育を行う場合は、上で述べたように行ってください。
駆除したいときは、はがした後ビニールでキャッチすれば一切手に触れず除去できます。そしてそのままゴミとして出せば駆除完了!とても簡単ですよね。
まとめ
今回は卵について詳しく調べてみました。卵(卵鞘)の産む量から考えると、大人になるまでの生存率が非常に低いですね。
次回は大人になるまで生存率が低いことから成長過程について調べてみようと思います。