目次
世界にはどれくらいの種類があるの?日本にいるのは何種類?
カマキリは、世界中に2,000種前後いると言われています。
しかし、研究者によって見解は多少異なります。
1,800種と少なく分ける人もいれば、4,000種と細かく分ける人もいます。
カマキリは、オスよりもメスの体長が約10%大きいです。
ですから、見た目からオスとメスを見分けることはとても簡単です。
もう1つ、容易に区別するポイントがあります。
尾の裏側にある突起の数です。腹の一番下についているので、すぐに分かりますよ。
突起の数が2つある場合はオス、1つの場合はメスです。
いったい日本にはどれくらいの数のカマキリがいるのでしょう?
日本には2系統、合計9種のカマキリが暮らしています。
大きな2つの系統は、「カマキリ科」と「ヒメカマキリ科」です。さらに、これが分類され9種になります。
9種のカマキリの中から、ここでは5種を取りあげ、紹介していきますね。
カマキリ科に属すカマキリは、小柄なものから大きなものまで実にさまざまな種類が存在します。
1番小さなものは「ヒナカマキリ」
オスの体長は1.2㎝~1.5㎝と、非常に小さいです。
メスの体長も1.3㎝~1.8㎝しかありません。
ホッチキスの芯よりも少し長いくらいです。
体色は褐色をしています。枯れ葉と見間違うくらいの色をしています。
ヒナカマキリが分布しているのは、日本では本州よりも南の地域です。
海外では台湾で目にすることができます。
林の中に堆積した葉の上や低い木の上で生活をしています。
中間くらいの大きさは「ハラビロカマキリ」
オスの体長は4.5㎝~6.5㎝、メスの体長は5.2㎝~7.1㎝で、
緑色や紫がかった褐色の体色をしています。画像は鮮やかな緑色ですね!
ハラビロカマキリは、本州から沖縄まで幅広く生息しています。
海外では、東南アジアに広く分布しています。
近くに林がある草原や高い木の上で生活をしています。
もう1種類の中間くらいの大きさの「チョウセンカマキリ」
体長はオスが65mm~80mmです。
メスは、体長が70mm~90mmもあります。
後に紹介する「オオカマキリ」と似ていますが、前脚のつけ根が違います。
チョウセンカマキリは、前脚のつけ根が朱色に近い色をしています。
つけ根には少し黄色も混じっています。
チョウセンカマキリは、本州から沖縄まで広く分布しています。
海外でも中国と朝鮮半島において見ることができます。
原っぱや田畑、河川敷などの開けた環境で生活をしています。
1番大きなものは「オオカマキリ」
オスの体長は6.8㎝~9.5㎝と大きいです。
メスの体長も7.5㎝~11㎝と、さらに大きいです!
メスの体長はトイレットペーパーの芯より少し小さいくらいです。
体色は、緑色と褐色の2色が見られます。
チョウセンカマキリと似ていますが、後ろ翅のつけ根を中心に紫がかった褐色をしています。
オオカマキリは、北海道から九州まで広く分布しています。
海外でも朝鮮半島や中国、東南アジアに生息しています。
林近くの草むらや高い木の上で目にすることができます。
ヒメカマキリ科は、その名の通り比較的小さな体形をしています。
その中の1つである「ヒメカマキリ」を紹介します。
オスの体長は2.5㎝~3.3㎝で、翅は黒っぽく艶があります。
これは、マッチ棒くらいの大きさくらいです。
メスの体長は2.5㎝~3.6㎝で、濃い褐色の翅に斜めに縞模様が入っています。
右横の画像は、ヒメカマキリのメスになります。斜めの線を確認することができます。
オオカマキリと同様に体色は2タイプあります。
緑色と褐色の2つです。
ほとんど樹上で生活することが多いですが、街灯に飛来することもあります。
いったいどんな場所に暮らしているの?大きな特徴はないの?
カマキリの分布は広くアメリカ州、ヨーロッパ州の一部、オーストラリア、南アフリカ、アジア州まで。
たいていのカマキリは気温が高めで、適度な湿り気のある環境を好みます。
そのため公園や野原、森林、河川敷などを探せば、すぐに見つけることができます。
カマキリの特徴は、両手の大きな鎌だけではありません。
その他にも分かりやすいものがありますよ。先ほどの内容にヒントはありました。
いったい何だと思いますか?それはカマキリの体の色です。
上で紹介したように、ほとんどのカマキリの体色は、緑色や褐色、茶色など地味な色合いをしています。
しかし、東南アジアなどの熱帯に住むものは、白やピンクなど色鮮やかなものが多く見られます。
それらのほんの一例になります。
新種のカマキリ
ヒナカマキリ
カマキリの知恵!過酷な環境を生き抜いていくために…
どこかで「擬態(ぎたい)」という言葉を耳にしたことはありませんか?
生き物が自分の姿を何かに似せるためにとる行動を指して言います。
アゲハチョウの幼虫が鳥のフンのような姿をしているのは、天敵から身を隠すためです。
バッタも周囲の草の色に体色を合わせていますが、これも同じ理由からです。
チョウもバッタも、いわば自分の身を守るために、体を鳥のフンや周囲の光景に似せているのです。
比較的暖かいところに暮らすカマキリは、なぜカラフルな体色をしているのでしょうか?
気候的にも温暖である南国には、色鮮やかな花がたくさん咲いています。
そのためカマキリは、周囲の環境に合わせてカモフラージュし、身を隠します。
カマキリが身を隠すと言っても、捕食のためです。
エサとなる生き物に自分の姿を気づかれないようにしているのです。
驚くほど周囲に溶け込みます。
もちろん、カマキリの擬態は南国だけに限らずいたるところで目にすることができます。
上の画像をご覧ください。実に見事な擬態です!
体を植物の葉に似せていますよね。よく見ないと、人間であっても気づきませんね?
これがカマキリの擬態です。
これなら小さな昆虫が気づかずに、捕食のも無理はありませんね。
カマキリの食にまつわる話
狩り名人の秘密とは…?隠れた3つの能力とは!
カマキリの食性は肉食で、バッタなどの小昆虫や小動物を捕食します。
場合によっては、スズメバチやバッタ、オニヤンマなどの大型肉食昆虫を食べることも。
また、ヘビ、クモ、ミミズ、アリ、ダンゴムシなど昆虫以外の小動物を食べることもあります。
このように昆虫界の狩りの名手として知られるカマキリです。クモには、ときとして返り討ちにあうことも!まさに命がけの狩りです。
いったい捕食するまでどれくらいの時間がかかるでしょう?
な、な、なんと!わずか0.05秒です。
もう1度繰り返しますが、獲物を見つけてからしとめるまでの時間です。
人間が瞬きを終えるまでに要する時間が0.1秒と言われています。
ほんの一瞬です!瞬きを終えるまでに、カマキリはエサとなる生き物を捕えてしまうことになります。
アッと思ったときには、おそらく口の中かもしれません。「アッ!」、パクッです!
そしてあの鋭い両の手には驚くほど巨大な力が隠されていました。
人間の力に換算して3tもの力を秘めていたんです!
3tといったらアフリカゾウの体重のおよそ半分の力です。
そんな力が加われば、人間であっても即亡くなってしまいます。
強力な武器をもっていたんですね。これで攻撃された相手は、ひとたまりもありません。
ですから、小動物や大型昆虫を捕えることも簡単です。
カマキリの視野は、いったいどれくらいあるのでしょう?
その広さ、なんと約180度も見渡すこともできます。
小学校で使った懐かしい分度器とほぼ同じ範囲の視野。
これで獲物の位置や動きを正確に把握していたんですね!
後ろからそっと近づいて捕獲しようとしても、すぐに気づかれてしまうはずです。
幼い頃にカマキリの捕獲に失敗した原因はこれだったんだと、今気づきました!
「スピード」、「腕力」、「視界の良さ」、この3つがカマキリの狩りを支えていることが分かりました。
衝撃的な4つの事実が判明!目を覆いたくなるようなことから欠点まで!
調べていく中で、とてもショッキングなことを発見してしまいました。
生々しい画像も添付しておりますことを事前に、お知らせいたします。
これから順に4つをご紹介していきます。
1つ目は共食いをします!
メスがオスを食べてしまうんです。
どこかで耳にされたことがあるかもしれませんが、共寝後にメスがオスを食べてしまうのです。
中には、共寝の最中にオスの上半身をバリバリ食べてしまうものもいたりします。
オスは上半身を食べられても下半身が残っていれば、共寝は成功するそうです。
男性のみなさんにとっては、あまり心地のいい話ではありませんね。
つまり、子どもへの父性による自己犠牲です。
研究により、オスはメスの養分になるのではなく、卵の養分になることが判明しています。
研究論文によると、オスのカマキリが共寝の際にメスによって食べられる確率は約13%~28%。
意外と確率が低いと思ったのは私だけでしょうか?
最低でも約70%のオスは逃げきれると考えることができそうです。
2つ目はあの臭いカメムシさえも食べてしまう
ということは、あの臭いの成分もカマキリは、きっと平気なのでしょう。
しかし、わざわざ臭い虫を食べることはないのにと思ってしまいます。
これは、岩木山観光協会・生物学研究チーム情報をもとにお伝えしています。
我が家には毎年のように同じ場所にヤモリがやって来ます。
そして、網戸にとまる蛾や小さな虫をぱくりと元気よく食べてくれます。
しかし、カメムシにはそっぽを向いて、興味を示しません。きっと食が進まないのでしょうね。
それに対してカマキリは、来るもの拒まずの姿勢です!貪欲に何でも捕食します。
ある意味カマキリは、人間にとって益虫なのかもしれませんね。
3つ目はカマキリには寄生虫がついている
寄生虫の名称は「ハリガネムシ」といいます。
その名の通り針金のようにとても細長いですが、ゴムのような伸縮性はありません。
体長数㎝から1mに達する個体もありますが、太さは1mm~2mm程度です。
カマキリへの寄生は次の3段階に分けて、実に巧妙に行われます。
第1段階は、ハリガネムシは水生昆虫(カゲロウなど)に捕食され、その体内で休眠状態に入ります。
第2段階は、ハリガネムシを宿した水生昆虫をカマキリが食べ、カマキリの体内に侵入します。
第3段階は、特殊な物質を出してカマキリを水辺へ誘導し、尾から飛び出します。
宿主となったカマキリは生殖能力を失い、ハリガネムシが飛び出すと亡くなってしまいます。
一説には、ハリガネムシが寄生できる確率は9割という報告もあります!
カマキリ(特にハラビロカマキリ)などの体内に寄生します。
なぜハラビロカマキリに寄生することが多いのでしょう?
それはハラビロカマキリのエサに関連があります。
ハラビロカマキリは、ハリガネムシの宿主となっているカゲロウやコオロギなどを捕食する機会が多いからです。
この種以外のカマキリでも、宿主となる昆虫などを捕食すれば寄生されていると考えた方がいいでしょう。
ハリガネムシの生態は、まだまだ謎の部分が多く残されています。
寿命は2年から3年と長いです。
他者の体を利用して、生き延びるズル賢い生き物です。食物連鎖をうまく利用している生き物ですね。
ハリガネムシの出し方は、捕まえたカマキリの尾の先を水の中へつけてください。
にょろっと出てくる姿を見ることができるかもしれません。あまり心地のよいものではないと思いますが。
その代わり、そのカマキリは亡くなってしまいますが…。
4つ目はカマキリは飛ぶことが苦手
「速さ」、「力」、「視野の広さ」を備えたカマキリにも1つだけ弱点がありました。
カマキリは、翅はあるのに飛ぶのがあまり上手ではありません。
なぜうまく飛べないのでしょうか?
それは、カマキリの翅の広さでは体の重さを支えることができないからです。
仮に飛べたとしても、わずかな距離です。
とても長い距離は飛べません。
極端なたとえになりますが、大人が子ども服を着ているような感覚です。
ですから、あの翅で肉付きのいい体を支え、遠くまでことはできません。ぼてっと落ちてしまいそうです。
別の見方をすれば、カマキリは生活をする上であまり飛ぶ必要がないとも言えます。
なぜならカマキリは待ち伏せて狩りを行う昆虫だからです。
わざわざ自分から行動しなくてもエサの方が近づいてくるわけです。
それに、狩りのうまさは天下一品です!一瞬で捕えてしまいます。
カマキリの卵(卵鞘)について
どんなところに産むの?種類によっても違うのか!?
「卵」と書くと、1つずつ産み落とされる姿を想像される方が多いと思います。
カマキリの卵について少し説明を加えたいと思います。
確かに卵を産みますが、正確にはいくつもの卵が入った泡に包まれたかたまりです。
この泡は特殊で、初めは泡状ですが時間が経つにつれて、硬くなっていきます。
通気性と断熱効果があるだけではなく、スポンジ構造なので軽い衝撃からも守ってくれます。
まさに自然界の防護壁です!
カマキリは、このかたまり(卵鞘:らんしょう)を1つだけではなく、数回に分けて産みます。
その理由は幼虫たちの生存率の低さや、卵鞘を食べる天敵への対処するためです。
カマキリの種類によって、卵鞘を産む場所もまったく異なります。
オオカマキリは、木の枝や枯れたイネなどの植物の茎に産みつけます。
卵鞘の形状は少し角張った球形のかたまりで、大きさ約4㎝くらいです。
おむすびのような形を想像してもらったら分かりやすいです。
ススキの枯れた茎や細い枝に産みつけられていることが多いです。
野原や稲刈り後の水田などを訪れると見つけることができるかもしれません。
ハラビロカマキリの産卵場所は、建物の壁面や木の幹や枝などです。
卵鞘の形状は厚みのある紡錘形(ぼうすいけい)で、大きさ2㎝~3㎝ほどです。
紡錘形とは、円錐の底面を貼り合わせたような形をいいます。
雑木林に行けば、思ったよりも簡単に発見できます。
実は我が家の壁にも卵を産みつけられたことがあります。
変わったところでは、電柱にも産卵するそうですよ。
チョウセンカマキリは、枯草の茎や植木の小枝に産みつけます。
人家や畑の周辺で目にすることは難しくありません。
卵鞘の形状は、紡錘形を縦半分に切ったような細長い形をしています。
ペリカンマンゴーを横から2つに切った形です。
大きさは4㎝くらいです。
コカマキリの産卵場所は、木の幹の低いところや、倒木、杭、板など…。
つまり、低い場所にあり、強度や硬度があればいろんな場所で産卵をします。
家の周りを観察されると、意外とすぐに見つかるかもしれませんよ。
卵鞘の形状は、紡錘形を縦半分に切ったような平べったく、細長い卵をしています。
大きさは2㎝~3㎝ほどです。
何匹の数を産むの?あの泡の正体は一体何なの?
オオカマキリは、200個~300個ほどの卵が入った泡状の卵鞘(らんしょう)を産みつけます。
オオカマキリは、能力的には卵鞘を20個も産むことができるそうです。
しかし、実際の数はそれよりも少なく5個未満と言われ、無事に成虫になる割合は卵の合計の10%に満たないです。
仮に5個の卵鞘を産み落としたとして、卵の合計は300個×5で1,500個。
そのうち成虫になるのは1,500個×0.1で150匹という計算になります。
1つの卵鞘から大人のカマキリになれるのは、150匹÷5で30匹ほどしかいません。
あくまでも多めに算出していますので、実際はこれよりももっと少ないと考えることができます。
チョウセンカマキリを育てた人の話によると、10個も卵鞘を産んだそうです。しかし10個とは、驚きですね!
しかし、その後の管理はどうされたんでしょう?大変そうですね。
どこを探せばいいの?どうやって持ち帰るの?
ここまでいろんなカマキリの卵鞘について紹介してきました。いかがでしたか?
カマキリの卵鞘に興味をもたれた方はいませんか?
あるいは、子どもに孵化の瞬間を見せたいと思われた方はいませんか?
まず、家の周りの茂みをのぞいてみてください。
特に、ススキなどのイネ科の植物が生えているところがいいです。
散歩がてらに川沿いの土手を訪れるのもいいかもしれません。
または、近くの公園を散策されてみてください。
もし、卵鞘を見つけることができたら、カマキリの種類を確認してください。
卵鞘を持ち帰りたい場合は、オオカマキリかチョウセンカマキリの卵をおススメします。
これらのカマキリは枝に産卵するので、枝ごと切り取って簡単に持ち帰ることができるからです。
カマキリの卵鞘を選ぶ際は、次の3つに注意してください。
まず、変色したものや崩れかけたものは選ばないこと。
こういう場合は、無事に育つ可能性が非常に低いので、持ち帰るのにはよくありません。
カマキリタマゴカツオブシムシやオナガアシブトコバチが寄生しているおそれがあるからです。
次に、しっかりとした茎や枝についた卵を選び、長さは余裕をもって切り取ること。
これは、飼う際にケースの中にしっかりと立てかけられるようにするためです。
最後に、外気温に近い玄関先などの低い温度で管理すること。
暖かい部屋で管理すると、季節を勘違いして卵が孵ってしまうことがあります。
どうしても他の種の卵鞘を持ち帰りたい、
あるいは、壁についた卵鞘を駆除したい場合はどうすればいいのでしょう?
はがし方は、100円ショップなどで金属ベラを購入し根元からゆっくりとお願いします。
かつお節ほどではありませんが、分厚く固いので意外と簡単にはがすことができます。
はがした後、飼育を行う場合は、上で述べたように行ってください。
駆除したいときは、はがした後ビニールでキャッチすれば一切手に触れず除去できます。
そして、そのままゴミとして出せば駆除完了!とても簡単ですよね。
カマキリの成長過程について
カマキリの子どもって?どんな成長過程を経て大きくなるの?
カマキリは、チョウとは異なった成長の過程を経て成虫となります。
カマキリには、「卵」、「幼虫」、「成虫」という3段階の成長過程があります。
そのためカマキリは、「不完全変態」というグループに分けられています。
ちなみに、チョウは、「卵」、「幼虫」、「サナギ」、「成虫」の4段階があり、「完全変態」に分類されます。
カマキリは脱皮を数回に分けて繰り返し行います。
その回数には、種類や個体によっても差が見られます。
オオカマキリの子ども時代は7段階あり、それぞれ段階を経て大きくなります。
これにも個体差は見られます。生まれたての頃は、卵鞘から赤ちゃんが這うようにして抜け出してきます。
生まれたときは、右の画像のような白色をしています。
体長わずか数mmたらずと、糸くずのような頼りない姿をしています。
成虫の姿からはとうてい考えられません。
1令幼虫の体長は、10mm~12mmと、成虫の10分の1程の大きさです。
このころになると、ショウジョウバエなどの小さな虫を食べます。
ときには、幼虫どうしで共食いをすることもあります。サバイバルの始まりです!
約2~約3週間後には、2幼虫となります。
2令幼虫になると、体長は15mm~17mmくらいに育っています。
3令幼虫の頃には、体長22mm~23mmになります。
4令幼虫の体長は、30mm~33mmほどです。
このくらいになると、ハエやアリ、テントウムシなどの小さな昆虫を捕食するようになります。
5令幼虫になると、体長は40mm~42mmに。
6令幼虫になる頃には、体長が51mm~55mmになります。
7令(終齢)幼虫60mm~68mmくらいになると、成虫の一歩手前の段階です。
脱皮や羽化の前兆のサインは?注意することはないの?
これは「脱皮」と「羽化」に共通して言えることです。
水や食べ物をとらなくなると、それが「前兆」の知らせです。
羽化の場合、終齢幼虫の背中に折りたたまれている翅の形がくっきりしてきます。
そして、水も、食べ物も控えるようになり、ついに食べなくなってしまいます。
やがて、1カ所にずっとじっとしているようになります。あまり動きません。
お腹や、背中が、少ししわしわになってくると、脱皮の兆候です。
このような状態になったら、静かにそっとしておいてあげましょう。
この兆候を見逃さないように、しっかりと管理していきましょうね。
脱皮の時間はどれくらい?どんな状態になるの?
カマキリの種類によっても多少の違いはあると思います。
しかし、脱皮自体はだいたい20分から30分で完了します。
このときばかりはカマキリといえども無防備な状態です。
たとえ飼育下であっても、一番危険な状態だと言えます。
しかも新しい体が定着するまでに、なんと数時間もかかります。
なぜなら脱皮をする際に、体の構造を変化させるために液状化するからです。
そのため考えられないような角度で手や足を曲げたりして、皮を脱ぎ捨てます。
えっ!液状化…?どろどろの状態になるってことですね?
スライムみたいになるんでしょうか?
飼育されている方は、ぜひその瞬間をお見逃しなく!
めったに見られない光景ですよ!
あまりじっと観察しているとカマキリの負担になりますから、ほどほどにお願いします。
脱皮の際に気をつけることは?禁止事項はないの?
脱皮したばかりのカマキリには、絶対触らないでください。
脱皮したてのカマキリは、とても体がふにゃふにゃの状態です。
体が柔らかいので、手足のみならず体も簡単に折れてしまいます。
体がしっかりするまで、エサを与えるのは待ってください。
でも、水は与きちんと与えてくださいね。
その際は、体を傷つけないように細心の注意をお願いします。
脱皮に失敗!その原因とは…?
カマキリは脱皮に失敗することがあります。
具体例をいくつか挙げます。
片方のカマだけ皮が脱げずに片手だけ小さなままのもの。
足が変な角度になって固まってしまったもの。
脱皮直後に転落して、羽が折れ、その折れ目に体液がたまって緑色の水ぶくれができてしまったもの。
最悪の場合は、亡くなってしまうこともあります。
脱皮に失敗してしまう主な原因を2つ紹介していきます。
1つ目は、羽化の後、翅を伸ばすのに失敗してしまったから。
脱皮後、しわしわの翅を上手く伸ばせないと、そのままの状態で固まってしまいます。
カマキリの翅は一生そのままとなってしまいます。
動きが鈍くなるかもしれません、エサが思うように取れないかもしれません。
おそらくそのままでは生きていくことは難しくなるでしょう。
2つ目は、羽化後、伸ばしきった後にたたむことができなくなったから。
うまく翅を伸ばせても、たたむことができなくなることがあります。
このままでは伸びきった翅を、カマキリは上手に使うことができません。
これを「羽化不全(うかふぜん)」と言います。
羽化不全に見られる症状は他にも、翅の変形以外にも体が変な曲がり方になったりします。
もし脱皮に失敗してしまったら、もう元には戻らないのでしょうか?
このまま衰弱して、亡くなるのを待つだけなのでしょうか?
黙って見守ることしかできないのでしょうか?
私たちに何かできることはないのでしょうか?
安心してください、大丈夫です!
いくつか対処法があります。
脱皮に失敗したときの処置は?どうすればいいの?再生するの?
慌てず落ち着いて、次の3つを準備してください。
用意するものは、スポイト、水、竹串や細い針金などです。
聞き覚えのあるものばかりでしょ!
これらの材料もホームセンターなどで簡単に手に入れることができます。
材料費500円前後で済ませることができると思います。
まず、変化させたいところにスポイトで数滴、水をたらし柔らかくします。
問題の部位が腕や脚の場合は、針金などを使い正常な方向へ押していきます。
無理やり引っ張ったり、ねじったりしないように注意しながら行ってください。
問題のある部位が翅の場合は、水をたらした竹串で正常な位置へ戻してあげてください。
強引に処置をするとちぎれるおそれがあるため、慎重にかつ丁寧に行いましょう。
その後、そっと体を少し押さえるような形で針金をはめてください。
押さえるときには、力加減に注意してくださいね。
どちらの場合も処置後はそのままの状態にしておきましょう。
施術後は患部が乾くまでしばらく待ってください。
ただし、施術を行ったからと言って確実に助かるわけではありません。
術後のストレスなど思わぬリスクで亡くなることもありますので、ご注意ください。
意外とカマキリはデリケートな昆虫なのです!
残念ながら再生はしません。
カマキリの飼育方法
飼育する際に必要なものを教えて!なぜ必要なの?
せっかく手に入れた卵鞘を無事に孵したいですよね?
子どもが捕まえてきたカマキリを一緒に育てたいと思ったことはありませんか?
それをもとにして、夏休みの自由研究に活用することもできます。
カマキリを飼育するにあたって、準備していただきたいものは3つです。
すべて近くのホームセンターで、1,000円未満で手に入れることができます。
1つ目は、カマキリを入れる飼育ケースを用意すること。
飼育ケースの大きさは、カマキリの体長で決めてください。
カマキリの体長よりも大きめ(体長の3倍)の飼育ケースをおススメします。
理由はいくつかありますが、考えられるものは主に2つです。
第1に、エサや水を置く場所も必要となるからです。
第2に、脱皮をする際に広いスペースが必要だからです。
2つ目は、水を含ませた脱脂綿を入れる容器を準備すること。
容器はプラスチックでも、陶器でもいいです。
ただし、カマキリの体長よりも小さなサイズにしましょう。
限られたスペースの中を少しでも広く動けるようにしておくためです。
3つ目は、カマキリの止まり木を設置すること。
庭の木の枝や公園に落ちている枝などを使ってもらってもかまいません。
これはできる限り自然の環境に近づけるための工夫です。
自然から切り離された空間の中で、カマキリにとっての癒しになるはずです。
オスとメスとペアで買う場合は、産卵のために必要なものとなります。
どんなエサを与えたらいいの?水は必要なの?
成虫のカマキリを飼育される場合は、次の段落から読まれてください。
赤ちゃんカマキリには、小さなエサを用意します。アブラムシやショウジョウバエなどがおすすめです。
アブラムシは家庭菜園の野菜や庭木の新芽などに見られます。
空き瓶のふたを開けたままして、バナナを数日放置しておくと…。
ショウジョウバエを手に入れることができますよ。ショウジョウバエが勝手にわいてきます。
これらのエサで満足させることができるのは、せいぜい2週間くらいです。
それ以降は、もっと大きなエサを求めるようになります。
これからが大変になって来ますよ!
消化能力に優れているカマキリは本当によく食べます。
一般的に言われているエサの量は、2日に1回、コオロギやバッタ、イナゴなどを1匹です。
このくらいの量で充分ですが、1日に1回与えても問題はありません。
ただし、カマキリは亡くなったものではなく、生きたエサを大変好みます。
なかなかエサとなる生き物を採集する時間はありませんよね?
そこでペットショップで売られているコオロギや釣り餌のミルワームなどを与えてください。
カマキリにとってもう1つ大切なのが、「水分補給」です。
野生のカマキリは、温暖で湿度のある環境のもとで暮らしています。
そのため適度な水分は、カマキリが生きていくうえで不可欠なものとなります。
水を含ませた脱脂綿を専用の容器に入れておきましょう。
もちろん、脱脂綿は毎日交換したほうがいいです。特に湿度の高い時期はカビが繁殖することがあるからです。
脱脂綿の代わりにティッシュを代用されてもかまいません。
あるいは、霧吹きで毎日虫かご内を湿らせる方法でもいいです。
水の代わりに、栄養補給もかねてヨーグルト(無糖)をしみこませてもいいかもしれませんね。
エサを食べない!そんなときは…?
どんなに好きなものでも、毎日同じメニューだと食が進みませんよね?
それはカマキリであっても同じことです。
コオロギやミルワームばかりだと、どうやらカマキリも飽きることがあるようです。
そんなときは思い切ってエサを変えてみましょう!
こんな食べ物はいかがでしょうか?
ヨーグルト(無糖)、プリン、饅頭、ソーセージやハム、かまぼこ、干しエビなど、ちょっと贅沢な気もしますが…。
これらを与えるときは、少しだけ工夫が必要となります!
カマキリは動くものに反応するので、固形物ならスプーンで目の前にもっていき揺らすと食いつきます。
こんな再利用をされてみてはいかがでしょう?
調理の際に半端に残った鶏肉や魚の切り身などを糸で縛り、目の前で揺らすと食べてくれます。
いろんなものを食べるからと言って必要以上に与えるのはよくありません。
食事の量は適度に与えてくださいね!
飼育するうえで注意することは?卵から、それとも成虫から?
卵から育てる場合に、ぜひ注意してもらいたいことが2つあります。
1つ目は、幼虫の共食いについてです。
生まれたてのカマキリの幼虫は共食いを始めます。
なぜって?自分が生き残るためにライバルは少ないほうがいいですからね。
人間とは異なり、生まれた瞬間から兄弟同士で敵になるのです。強いものが子孫を残すのです!
自然界とは、本当にシビアな世界ですね!理屈で考えれば有能な遺伝子が残るということでしょう。
共食いを見たくないのであれば、孵化した幼虫のほとんどを野に放してやりましょう。
バッタにも共食いは見られます。
しかし、狭い環境の中で飼育されたことが原因で起こります。カマキリのそれとは違います。
どうもバッタはストレスを感じるとお互いを食べるようです。
2つ目は、アリに注意することです。
孵化したばかりのカマキリの赤ちゃんにとって、アリは大きな脅威です。
体も非常に小さく、力も弱いため簡単に捕食されてしまいます。
飼育ケースを屋外で管理されている方は、アリの侵入にご注意ください。
室内で管理をされている方も、念のため注意して観察してくださいね。
しかし、ある程度育ちあがると、アリとの立場が逆転してしまいます!
カマキリが捕食される側から捕食する側へと変わるのです。
自然界って本当にうまくできていますよね!このようにしてバランスが保たれているのでしょうね。
これから紹介する内容は、卵から飼育する場合にも、成虫から育てる場合にもあてはまることです。
飼育するにあたり、特に気をつけていただきたいことが2つあります。
1つ目は、カマキリは、食いだめをする習性があります。
ですから、エサを与えると与えた分だけ食べてしまいます。
最悪の場合、お腹が破裂するまで食べることさえあります。
エサを与える際は、くれぐれも適量を与えてくださいね。
「過ぎたるは猶及ばざるが如し」です!食べ過ぎはいけません。
2つ目は、家庭で飼育されているカマキリは、常にストレスにさらされているような状態です。
自然の中でのびのびと生活していたものが、人の手で飼われているのですから。
気丈夫そうに見えて意外と繊細なのがカマキリです。
必要以上にのぞき込んだり、触ったりせずに、ストレスを与えないように配慮しましょう。
なかにはストレスによって、亡くなってしまうものもいます。
ここからは、オオカマキリを飼われている方へのアドバイスになります。
オオカマキリは攻撃性が他のカマキリに比べて強く、動くものに過敏に反応する習性があります。
さらに、あの鎌は成人の指を傷つけるほどの威力があります。
特に小さなお子様のいるご家庭は、取り扱いには十分注意してください。
どれくらい生きるの?オスとメスで違いはあるの?
成虫になったカマキリは、向かうところ敵なしといっても過言ではありません。
しかし、カマキリにも自然の摂理には勝てません。時期が来れば一生を終えます。
カマキリの寿命はどれくらいだと思いますか?
オスよりもメスのほうが長生きですが、意外と短く1年から1年半です。
これから後の情報は関東よりも西の地域に関することです。
カマキリは冬越しをせずに、最期の時を迎えます。
オスは10月半ばから下旬くらいには亡くなってしまいます。
メスは、子どもを産むためオスよりも長生きです。
そのため11月上旬から下旬まで見ることができます。
飼育の状況や環境によっても異なりますが、2月頃まで生きることもあるそうです。
カマキリ農法
カマキリの農業利用への可能性について研究をされている方がいらっしゃいます。
近畿大学農学部昆虫生態制御学研究室に籍を置き、研究をされている渡辺博士です。
これから先の内容は渡辺博士の話をまとめて作成しています。
どんな面で農業への利点はあるの?
農薬などを利用する方法に比べて、環境への負担が少なく人体への影響も心配ありません。
これまでの方法では、ある特定の害虫のみを退治する天敵が使用されてきました。
しかし、特定の害虫にしか効果がなく、他の害虫の発生には対応できません。
さまざまな昆虫を捕食できるカマキリに、発生した害虫駆除への効果が期待されています。
どこで、どんな試みがされているの?
中国検験検疫科学研究院食品安全研究所の報告によると、
「田畑、山林などに、人工飼育した180万匹以上のカマキリを放ち、高い防除効果を得た」とあります。
アメリカでは、農業用や家庭菜園用にカマキリの卵をネットで購入し、卵を撒くことが習慣化しています。
日本でも、採集してきた卵を畑などに撒くと、害虫を捕食してくれるという声が多く聞かれます。
カマキリが害虫駆除に効果的なわけは?3つの理由とは?
害虫駆除に効果的な理由は、3つあります。
1つ目は、幼虫から成虫へと成長する過程においてさまざまな捕食を行うから。
幼虫の頃は、アブラムシやウンカ、ヨコバイ、ハエ等の小さな害虫を食べます。
成長とともにカメムシやバッタ、チョウまたはガの幼虫と成虫など大型を捕食します。
2つ目は、非常に優れた消化力で大量の害虫を食べることができるから。
3つ目は、待ち伏せ型の捕食者であるため、エサがいるとあまり分散せずその場に定住する可能性が高いから。
より効率的に定着させるためには、その場所に応じたカマキリの選択も重要です。
マメ科やアブラナ科の作物では大型のオオカマキリや地上を歩き回るコカマキリを。
リンゴやぶどうなどの果樹園では樹上性のハラビロカマキリを、イネ科には縦長のチョウセンカマキリを。
日本の現状は?これからの課題は?
これまでにカマキリを用いた生物的防除の研究は日本では全く進んでいないのが現状です。
安心・安全・おいしい農作物を育てる上で、人と地球に優しいカマキリ農法。
日本の農業を助ける大切な役割を果たす日が来ることを願って、今後の研究課題として考えています。
まとめ
正直に言って、調べる前はあまり気乗りしませんでした。
カッコいい昆虫ではありますが、獰猛であまりいいイメージがありませんでした。
幼い頃から苦手な昆虫の1つでもありました。
しかし、調べていくうちにだんだんと気持ちが変わってきました。
最も驚いたのは、カマキリの父性愛です。
自分の身を犠牲にして子に捧げるとは、深い愛情を感じました。
また、ちょっと気の毒に思ったこともありました。
それは宿主として寄生虫に利用されることもあるカマキリの側面を知ったからです。
昆虫界の強敵を上手に生き延びる生き物がいることがいるとは、まったくしりませんでした。
さらに、カマキリにも不得意な分野ことがあること。
なんでも万能そうな印象がありましたが、欠けたところがあるほうが共感を覚えます。
人間と同じで一人勝ちはない世界、これが自然の摂理だと思い知らされました。
カマキリ農法とは目から鱗が落ちる思いがしました!
こんな斬新な発想があるんですね。
人と自然が寄り添って生きていけるように、私たちが歩み寄らないといけませんね。
少しでも興味をもたれた方は、飼育されてみてくださいね!
卵から育てると孵化するところを見ることができるかもしれません。
成虫から育てる場合は、いろんなものを食べるところをじっくりと観察できますね。
飼育される場合は、注意事項をよくよみ育ててください。
私は、さっそく卵鞘を探して、カマキリに家庭菜園の野菜をボディガードしてもらいます!
カマキリ農法を取り入れてみようと思います。