立派な成虫のカマキリを頻繁に観察できるのは秋です。
色の濃い大きなカマを持ち、羽を生やしたカマキリが野原や草原で暮らしています。
でも、幼虫のカマキリはみんな褐色ですし、羽もありません。
そこで、幼虫のオオカマキリが見事に成虫になり、卵を生むまでの過程を調べてみました。
カマキリの脱皮
オオカマキリの赤ちゃんは大体5月に生まれます。
生まれた直後に脱皮し、1齢幼虫とよばれる幼虫になります。
成虫になるまでにこの脱皮を何度も繰り返し、多い場合は約10回、およそ3ヵ月かけて成虫になります。
オオカマキリは緑色型と茶色型がありますが、2齢幼虫まではいずれも薄い茶色をしています。
緑色型の幼虫は、脱皮を繰り返すたびに段々緑色に近づいていきます。
最後の脱皮、羽化
成虫になるための最後の脱皮を羽化といい、直前の幼虫を終令幼虫といいます。
背中には羽をおさめた翅芽とよばれる部分があり、羽化が近づくとふくらんで厚みが出てきます。
主に8月中旬から羽化が始まります。
羽化は夜にみられることが多いです。
まず頭、羽、胸を皮から引き抜き、そこでしばらく止まって足が固まるのを待ちます。
足が固まると全身を引き抜き、縮んだ羽をゆっくりと伸ばしていきます。
体液を翅脈に送りこみながら、1時間ほどかけて伸ばします。
羽化したばかりはまだ体が柔らかく体色も薄いですが、徐々に体が固くなり色が濃くなっていきます。
完全に固くなるまでには2日ほどを要します。
秋の産卵
秋になると、成虫のメスの産卵がみられます。
メスは産卵に適した枝や草の茎を見つけ、逆さまに止まって産卵します。
卵を生む前に、卵嚢とよばれるクリーム状のあわを出すのがカマキリの特徴です。
これは卵を守る役割を担っています。
おしりから白い液を出し、腹部を動かして泡立てるようにして形を作っていきます。
卵嚢の完成までには数時間かかります。
少し卵嚢ができあがると卵を生み、また泡立て、卵を生み、を順に繰り返します。
豊富な餌があれば、メスは何度も卵嚢を作ることができます。
最終的にひとつの卵嚢に200個前後の卵を生みつけます。
まとめ
カマキリの一生は何かと忙しいですね。
孵化した幼虫は半数が亡くなってしまうので、羽化までたどりつけるカマキリはごく一部です。
しっとりと濡れた薄い羽をゆっくりと伸ばしていく羽化の様子は美しく、神秘的です。